九州ツアーを終えたばかりのチェンバロの長久真実子、リコーダー・バロックオーボエの江崎浩司とリコーダー・ヴォーカルの横田朱乎のそれぞれの門下生の合同の発表会が新所沢の松明堂音楽ホールで行われました。
わたしのリコーダーの師匠のくらばやし先生、ゆうこ先生両方の兄弟子になるT氏は、長久さんにチェンバロも習っていて、楽器も作ってしまう・・・という幅広い趣味と才能の持ち主です。そのT氏からリコーダー3重奏で一緒に発表会に出ましょうというお誘いを受けたので、T氏とSさんとわたしとでしばらくゆう子先生の個人レッスンの時間は3人そろってのアンサンブルの練習をしていました。通奏低音は長久さんがやってくださるとのこと。昨年末に演奏したことのある、パーセルのシャコンヌを再度、練習しなおして演奏することにしました。
その本番が今日。松明堂音楽ホールは小編成のアンサンブルの演奏や歌にはぴったりの響きの良いとても素敵なホールです。ヨーロッパの古楽器や民族楽器などを楽しむために設計されたホールには望月通陽作品があちこちに配され、ステージのチェンバロは望月氏の装飾による個性的な美しいたたずまいです。そんなホールのステージに立てるなんて!・・と発表会を楽しみにしていました。3人でのリコーダーでの合わせ、チェンバロとの合わせなど発表会の前日まで練習を重ねました。前回演奏したときはまだまだそれぞれがそれぞれのパートの演奏をするのに精一杯で他のパートの音は全然聞こえていなかったのですが、今回は練習を重ねるうちに、少しずつ聞こえてきたんです。他のパートの音が・・・そしてハモッたときのうるさい耳鳴り(?)も・・・。この曲、こんな曲だったんだぁ・・・。
さて当日は朝からのリハーサルを経て午後2時からの開演。まずはモダンピッチの部からで、江崎門下のリコーダー、横田門下のリコーダー、長久門下のチェンバロがバランスよく組み合わされていて、江崎さん、横田さんの演奏に長久門下のチェンバロ伴奏やなどもあって、聞く人を飽きさせない、バラエティに富んだプログラムでした。休憩をはさんでチューニングを変え、後半はバロックピッチの部になりますが、この2番目がわたしたちのパーセル「シャコンヌ」です。いつもの練習ではあまりヨロヨロしなかった(と自分では思っている)わたしが今日はリハーサルからなんだか良くない予感がしていましたが、本番のステージでは、なんと途中の入りを間違えて落っこちてしまいました。やっぱりでした。戻れないまま不協和音が少し続いたとき、T氏が「もう一度やり直します」と声をかけてくださったので、ホッとしました。ホールのお客様もホッした様子が感じられました。再度、気を確かに持って・・・やり直し。メンバーの緊張が逆に緩んで再度のトライは少しリラックスして演奏できました。本番では集中していたつもりでもフッと気を失うような瞬間があって、その魔の手にとらわれてしまいました。やり直せてよかったです。
でもやっぱりシャコンヌは難しい・・・前回の演奏で見えていなかった難しさが今回はわかったように思います。そして自分たちでは演奏できているように思えても、それを人に楽しく聴いてもらえるように演奏するのは難しいのだということもわかってきたのは、また1つの進歩と言えるのかもしれません。そして発表会を通じて多くの演奏と多くの人々との出会いがあり、やはりとてもエキサイティングで幸せな1日でした。感謝の気持ちでいっぱいです。そしてまたこうやってリコーダー、頑張ろう!って思えるんですよね。
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